自転車通勤は、大変良いと思います。(最近は、遠のいていますが。)健康の増進や季節を感じ、自然と一体になる、様々な技術や日常使えるグッズが揃うなどリスクを超える楽しさが僕にとってはあるのでした。
自転車通勤のリスク
ただ、良いことばかりではありません。何事にもリスクがつきものです。僕が自転車通勤を10年近く続けてみて一番のリスクは、不意に訪れる落車です。
不意の落車
どんなに気をつけて走っていても、不意に落車することがあります。僕の場合大きな落車は、2度ほどありました。今回は、その中の1つについて書きます。
アスファルトと側溝の隙間に自転車のタイヤがはまって落車
自転車は、歩道ではなく車道を走ります。車道でも左寄りを走ります。歩行者と自転車が走れる道路もあります。車道の左側から、自転車区域に入ろうと左斜め前に移動したときのことでした。突然転んだのです。体は、歩道に投げ出されたのでした。「イテェ。」しばらく起き上がれませんでした。通行人は幸いいませんでした。僕自身がぶつかったり、自転車をぶつけたりしなくてよかったなぁと思います。自動車の往来は多かったので、運転手はこちらをジロジロと見ているのがわかりました。痛みがさり、自転車の状態を確認するとタイヤは無事で、ハンドルが多少内側に曲がってしまっていました。ブレーキやギヤは大丈夫そうだったので、外れたチェーンを戻しました。何が原因だったか、走った後を辿ってみると、アスファルトと自転車通路・歩道の間に、ちょうどロードバイクのタイヤが入るほどの隙間があり、ここにはまったんだなぁということがわかりました。「チッ」と舌打ちをして、また、自転車に乗り漕ぎ出しました。
体の節々に違和感が…、特に左足の親指が腫れているようだ。
体を打ったところは、傷などないのですが、痛みはありました。まぁ、でも時間とともに引いていく痛みであろうことはわかります。ただ、ヘルメットをかぶっていて本当に良かったなぁと思います。やはり、ヘルメットは必須です。ヘルメットがなかったらどうなっていただろう…想像するだけで、恐ろしいものがあります。
自転車を漕いでいる左足の親指がそれほどの痛みではないけれど、腫れているような違和感がありました。転んだ時にどこかにぶつけたり挟めたりしたのでしょうか。自分では自覚がありません。「んん、なんか変だなぁ、でもビールでも飲んで寝れば朝には治っているでしょ。」なんて考え、普段は飲まないビールを買って飲み、早めに寝ました。
寝れない。眠らせてくれない。
しかし、眠れないのです。寝ようとフッと眠りに落ちた瞬間に、左足が「ズキューン」と痛み出すのです。あまりの痛みに目が覚めました。この痛みの波も、横になっていればじきに治るだろうとしばらく横になったまま、ズキューンがおさまるのを待っていましたが、いっこうにおさまりません。横になっているので、睡魔も襲ってきます。それも、フッと眠りに落ちた瞬間にズッキューンと痛むのです。そして、平日はほとんど飲んでいなかったビールも飲んでいました。ビールは一層眠気を誘いました。が、左足親指が眠らせてくれません。この時は、左足が何かに触れるだけでもかなりの痛みがありました。眠れないのは、拷問です。実感しました。結局眠らせてもらえないこの状況で、少しでも気を紛らすために深夜のリビングに移動して、テレビを見ました。テレビもつまらないので、何かのDVDを再生しましたが、痛みと眠気とで全くストーリーが入ってきませんでした。「このままでは明日の仕事に支障が出る。」と焦りも心の中に湧いてきました。眠気と痛みとイライラと焦り。救急病院に行こうかとも思いましたが、ビールを飲んだことを思い出しました。タクシーを呼んだりしたら、家族も起き出し迷惑をかけます。「あぁ、だめだ。どうにもならねぇ。」と腹をくくり、朝まで耐えることにしました。この調子では、明日は仕事を休みをもらわなければならないでしょう。仕方がない。こんなとき一分1秒は、果てしなく長いものです。眠気と痛みとイライラと焦りにやられ、ボォーッとしている頭です。本を手に取っても訳がわかりませんでした。一分一秒を積み重ね、空がだんだん明るくなり朝を迎えました。家族が起き出してきます。「どうしたの?なんでここにいるの?」そこから、この状態に至る今までの経緯を気力を振り絞って話しました。明るくなったので、今すぐにでも病院に行きたいところですが、9:00からの診察という情報に目の前が真っ暗になりました。こんな足の状態だから、運転は控えた方がいいだろう。そんなこんなを考えているうちに、家族がそれぞれ職場や学校にに向かっていきました。
開業時間には、多少早かったのですが、歩いて行けるほどの形成外科に行き、平静を装いながら、たくさんのお年寄りとともに、自分の順番を待っていました。ついに自分の番が来て、「まずはレントゲンを撮ってみましょう。」ということになり、レントゲンを撮りました。あまり痛むかおや辛そうな姿は見せないように努めました。レントゲンの後は、また、待合室で待ちます。
看護師さん大慌てで車椅子を持ってきた
レントゲンの写真がよほどひどかったのでしょう。車椅子を持って、大慌てで、私の元へ駆けつけてきてくれました。すぐに先生の前に通され、レントゲン写真を見せられました。「脱臼してるね。かなり痛んだでしょう。よくここまできましたね。」みたいなことを言われ、少し昨晩からの戦いの苦しみが癒されました。そして、むんずと僕の左足親指を手で掴むと「痛むかもよ。頑張ってください。」と言いながら、「ふんっ。」「ふんっ」外れた関節を元場所にいれたのでした。するとなんということでしょう。痛みがすっかりなくなりました。「すごい。医者ってすごい。ありがとうございます。」と、生まれて初めて心から医者に感謝しました。ずっと半日もの時間、ある意味拷問を受けていたけれど、数秒ですっかり直してしまいました。ここの病院は、ヤブ医者だともっぱらの噂でした。ですが、この治療があったので、少なくとも僕はヤブだと思いません。いい加減な問診をして、薬を出すだけの医者よりもよほどいい。
「珍しいから、このレントゲンを写真に撮っておいたら?」と先生に言われました。面白いほど、第1関節がずれているのがわかります。記念にと思い、写真を撮りました。いつかお見せできる機会があるかもしれません。
今となっては、良い思い出です。かなり貴重な体験をしました。自転車通勤の落車の経験からリスクについて書いてみました。
お読みいただきありがとうございます。良い1日でありますように。